相続・遺言

突然の身内の不幸から相続の問題が起きて、お困りではないですか?

将来の相続に備えて遺言を考えているが、悩んでおられませんか?

これまで受けてきたご相談には、次のようなものがありました。

  • 兄弟で遺産分割をすることになったけれど、どのように分けたらいいですか?
  • 父が亡くなりました。結婚して家を出ているので、どれだけの財産があるのか分かりません。
  • 遺産には、自宅のほかには現金が少しだけです。どうやって分ければいいですか?
  • 夫の事業に長く尽くし、晩年は介護が大変でした。相続で考慮されないのでしょうか?
  • 亡くなった母には、借金があったようです。どうすればいいですか?
  • 父の遺言には、兄に全財産を遺すとありました。私は何も主張できませんか?

弁護士に相談・依頼するメリットは

1.感情的な対立を超えて、客観的に判断することができる

相続は身内の問題であるからこそ、一度対立すると冷静に話し合うことが難しくなります。

一方で、相続の問題は、法律や過去の判例に照らして客観的に判断できる部分もあります。

法律相談を通じて、まずは、自分の立場を客観的に把握することが重要です。

2.争うべきところは裁判所で正々堂々主張する

裁判所では、法律問題、財産の評価に加えて、過去の経緯を明らかにする必要があります。

自らの主張は証拠とともに書面で説明して、裁判官を説得します。

こうした手続は専門的知識が必要であり、弁護士に依頼することで説得的な書面を作ることができます。

相続の流れ

STEP1 遺言の確認

  • 遺言がある場合は、書かれてある内容に従って手続きを行います。
  • 遺言があっても無効になる場合があります。
    1. 遺言は、亡くなられた方(「被相続人」といいます)が自筆で書くこと以外にも、その形式が法律で決められています。形式違反の遺言は、無効になる可能性があります。
    2. 形式的には整っている遺言であっても、次の場合には遺言は無効です。
      本人の筆跡ではない。
      認知症だったので、
      遺言を書くだけの能力はなかった。
  • 全てが遺言通りになるわけではありません。
    「私の全ての財産を長男の一郎にのこす」遺言は、他の相続人は「遺留分」の主張することができます(遺留分減殺請求の項へ)。

遺言の記載内容に少しでも疑問を持たれたら、専門家に相談することをお勧めします。

遺言が見当たらない場合には、相続人間で遺産分割協議を行います。

なお、公正証書遺言の有無については、お近くの公証役場で検索できます。

STEP2 相続人を確定する

  • 遺産分割協議を誰としたらいいのか?
    そのためには、相続人を確定する必要があります。
  • 配偶者(夫または妻)がいれば、常に相続人となります。
  • 配偶者とともに相続人になれるのは、順番に、
    1. 子ども
    2. 兄弟姉妹

親は、子どもがいないときに、相続人となります。

兄弟姉妹は、子どもも親もいないときに、相続人となります。

家族が相続人を分かっていても、銀行や裁判所には戸籍謄本などを提出しなければなりません。戸籍謄本を取り寄せる過程で、知らなかった相続人が出てくることもあります。相続人調査の手続きから、当事務所にお任せください。

  • 相続人の話合いによって、相続分は自由に決めることができます。
    けれども、話し合いで決着がつかなければ、法定相続分を基本として裁判所が決めます。
    また、法定相続分は、遺留分を算定する基礎になります。
配偶者と子ども 配偶者1/2 子ども1/2
子どもが2人いれば、1/4ずつ
配偶者と親 配偶者2/3 親1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4 親1/4

STEP3 相続財産の調査

まず、被相続人が確定申告をしていた場合は、直近の確定申告書をみれば、相続財産をだいたい把握できます。

次のような書類を揃えておく必要があります。

現金

貸金庫に多額の現金があるケースもあり。

預金

手元の通帳で金融機関と支店を確認する。

金融機関に「残高証明書」の発行を申請する。

多額の引き出しが予測されれば、過去の取引履歴を取り寄せる。

土地、建物

登記識別情報、権利証などを基にして、法務局で「不動産全部事項証明書」を申請する。相続人が把握していなくても、「固定資産税通知書」から判明することもある。

株式

配当金通知書、取引履歴から、保有していた株式を調べる。

被相続人が事業を行っていた場合は、会社の株式。

未上場の株式は、時価を評価する必要あり。

その他

自動車、ゴルフ会員権、出資金、貸付金など。

生命保険金
相続人が受取人であれば、遺産分割の対象とはなりません。
ただし、他の相続財産に比べて高額な場合、調整される余地があります。

マイナスの財産(負債)もチェックします。

住宅ローン、カードローン

金融機関からの通知が見つかったときは、残額を聞く。

過去に借り入れをしていた場合、念のために、信用情報機関で借金の有無を確認。

個人からの借金

借用書があっても残高が不明確なことがある。借り入れの事実があやふやなケースも。

滞納している税金

税務署からの通知、督促状を確認する。

保証債務

被相続人が第三者の連帯保証人となっていた場合、今は返済の必要がなくても、相続人が後日に返済を迫られる可能性があります(債務者が延滞するようになったとき)。

相続財産の調査をもれなく行うには、専門的な知識と多くの労力が必要です。当事務所にご依頼頂くことにより、これらの手間を省くことができます。

STEP4 相続放棄するかどうか?

相続財産の調査の結果、トータルの財産評価が出ます。

その結果、明らかに、債務超過(マイナス)の場合、相続放棄をすることができます。

相続放棄をすることにより、相続の効果を全く受けないことができます。

(メリット)

借金や保証債務を、引き継がなくてよい

遺産分割協議などに関わらずにすむ(相続財産に関心がないケース)

(デメリット)

プラスの財産を相続できない

住んでいた自宅を手放さなくてはいけない

相続放棄は、家庭裁判所で手続きを行います。

(注意点)

  • 被相続人が亡くなったことを知った時から3か月以内に申し立てる(熟慮期間)。
  • 相続預金を使ったりすると、相続放棄はできなくなる(単純承認)

当事務所では、負債の調査から相続放棄の申立てに至るまで、全てをお受けしていますので、お早目にご相談下さい。

STEP5 遺産分割協議

1.遺産分割協議の方法

遺産分割協議の方法には、決まった方式はありません。

電話、メールにより協議することもできます。

協議がまとまれば、「遺産分割協議書」を作成します。

「言った」「言わない」ということがないように、漏れなく記載します。

相続登記の手続き、預金の払い戻しなどは、遺産分割協議書に基づいて執行されます。

2.どうして遺産分割協議で揉めるのか?

私が相談を受けてきた感想では、次の場合に協議が難しくなるようです。

  • 長年、相続人間で交流がない。例)兄弟、親と孫
  • 一方の相続人には、被相続人の療養看護に努めてきた自負があるが、他方の相続人には、そのような認識がない(反対に、被相続人から資金援助を受けたはず、と思うことも)
  • 自宅以外にめぼしい財産がなく、代償金の当てがない。
  • 被相続人が会社を経営していたところ、後継者への引き継ぎ半ばで亡くなった。

他方において、本人の事前の心配に反して、あっさりと協議が成立した案件もありました。

  • 夫の再婚相手である妻は、夫の両親から再婚をよく思われていなかった。そうした中で、夫が急死した。相続人は、妻と夫の両親。
    妻は、自宅に住めなくなることを心配になった。
    妻から夫の両親に対して、夫に対する思いと今後の生活の不安を率直に書いた手紙を送ったところ、夫の両親は何も言わずに、相続放棄の手続きを取った。

「遺産分割協議は不安だけれども、まだ弁護士に依頼する段階ではない」といった場合は、遺産分割協議書の作成などのリーガルサポートがご利用できます。

STEP6 調停・審判

協議がまとまらなかった場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行います。

裁判官の指揮の下、調停委員2名が双方から事情を聞いて、意見を調整します。

だいたい、1~2か月に1回のペースで期日が設けられます。

調停委員からは、「次回までに、○○の資料を提出するように。」などの指示が出ます。

もちろん、自分の意見を述べることもできます(主張書面の形でまとめるのが効果的)。

調停でも分割案の合意が得られなかったときは、「審判」へと移行します。

審判では、裁判所が遺産分割の内容を決めます。

調停の中で、よく争いとなるのは、

  • 不動産の評価の方法
  • 亡父は、生前、兄だけに住宅ローンの頭金を援助していた(特別受益)
  • 夫の事業に給料をもらわずに貢献したから、相続分を増やしてほしい(寄与分)
  • 亡父の退職金を母が管理していたのに所在が不明(使途不明金)
  • 協議が長引き3年経っているが、貸地の賃料を精算してほしい(遺産収益の問題)

といった問題です。

調停・審判では、言い分を法律的に整理し、証拠を使いながら書面にすることが効果的です。当事務所では、ご依頼者の言い分を法律的に最大限主張しうる書面を作成します。

遺言の作成

1.遺言を作ることの意味

遺産分割協議をめぐる親族の争いを未然に防ぐ

相続は「争」族だ、と言われます。

無駄な時間と労力をかけさせないことは、被相続人の責務でもあります。

家族に対する自分の「思い」を伝える

遺言によれば、財産の遺し方に意味を持たせることができます。

妻あるいは夫に対する思いと、子どもに対する思いは異なるはずです。

その「思い」を、財産の遺し方に反映させて、遺言に積極的に記載しましょう。

第三者に感謝の「思い」を遺すことができる

遺言を作ることで、相続人にはならない人にも財産を遺すことができます(遺贈)。

2.どの遺言を作れば、いいのか?

法律上、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。

一番安全かつ確実であるのは、公正証書遺言です。

3.公正証書遺言の作り方

遺言の内容は、遺言する人が自由に決めることができるので、極端な話、「私の財産の全てを長男に相続させる」という内容でも構いません。

しかし、遺言を作ったとしても、死後に揉めるケースが実は少なくありません。

例えば、「私の財産の全てを長男に相続させる」の遺言では、他の子どもが遺留分を主張し、財産の分け方や評価をめぐって紛争となる。

他の相続人が遺言の無効を主張して裁判を提起するといった心配がのこります。

そこで、当事務所では、より慎重に遺言を作成することを、お薦めします。

(1)相続人の範囲、財産の評価などの下調べ

まず、遺言を作らなかった時、どのように遺産が相続されるのか(法定相続)、を考えます。

法定相続分を明らかにすることにより、遺産分割協議がまとまらなかったときのリスクを明らかします。

例)子どもが自宅の分割を主張して、妻が自宅を売らざるを得なくなる

また、遺留分の問題を認識することができます。

遺留分権利者は誰になるのか、どのくらいの財産を遺せばよいのか、を把握します。

(2)遺言の内容を検討する

公正証書遺言であっても、遺言の骨子は遺言する人が決めます。

先に明らかにした「遺留分」については、十分に配慮しておきたい点です。

遺言作成に際しては「付言事項」を有効に活用できます。

これは、遺言を作った理由、財産の分け方の根拠などを、遺言者が記載するものです。

例)遺留分を侵害する内容のとき
第三者(介護してくれた親戚、子の配偶者、寄付する団体)に遺贈するとき

(3)遺言執行者を決めておくと便利

遺言で決められた内容を執行する人が「遺言執行者」です。

  • 不動産の登記手続き
  • 預金の解約及び送金

相続人全員が協力して手続きを行うのは大変です。

事前に、遺言執行者になってもらう人を決めておく方が便利です。

(4)公証人との間で調整

遺言の内容が決まったら、文面を公証人と調整します。

印鑑登録証明書、固定資産税証明書などの必要書類を取り寄せます。

証人が2人必要となるので、証人も決めておきます。

(5)公正証書遺言の作成

関係者のスケジュールを調整して、公証役場で遺言を作成します。

原本は、公証役場で保管してくれます。

当事務所では、公正証書遺言の相談から作成に至るまでに必要事項を代行します。また、私が遺言執行者に就任することも可能なので、遺言の執行についてもご安心頂けます。

遺留分減殺請求

  • 父の遺言には、兄に全財産を遺すとあったが、何も言えないのか?
  • 父の遺言では、私が現金200万円とあったが、これだけなのか?

こういった場合の手段が「遺留分減殺請求」(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)です。

1.遺留分とは

「遺留分」とは、遺言によっても侵害できない割合です。

遺留分を主張できるのは、配偶者、子ども、両親、です。

兄弟姉妹は、遺留分を主張できません。

2.遺留分の計算の方法

STEP1 権利者が「全体として」主張できる割合を出す

配偶者、子どもが含まれる → 相続財産に対して1/2

両親だけ         → 相続財産に対して1/3

STEP2 「個別の」権利者ごとの割合を出す

STEP1の割合 × 自分の法定相続分

(例)夫死亡。妻、子ども2人が相続人のケース

妻 1/4=1/2(全体)×1/2(妻の法定相続分)

子 1/8=1/2(全体)×1/2×1/2(子の法定相続分、2人)

3.遺留分は自分で請求する必要がある

遺留分は、請求する意思を相手に伝えないと消滅してしまいます。

しかも、相続開始から1年以内に、きちんと伝える必要があります。

正確を期すためにも、配達証明つきの内容証明郵便で行うことが望ましいです。

遺留分は計算方法が複雑です。合意で決められなければ裁判で決めます。遺言の内容に疑問を持たれたら、お早目にご相談下さい。当事務所では、遺留分の主張を伝える段階から代理します。

法律相談のすすめ

お困り事がある場合、早めの弁護士への相談をお勧めいたします。

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